NPO法人の今後についての提言記事。
特定非営利活動促進法(NPO法)が1998年に施行されて20年になる。都道府県や政令指定都市からNPOとして認証された法人数は今や約5万2000、社会福祉法人や一般社団・財団法人などを加えると10万を超える。
多くは社会のために懸命に活動しており、その存在意義は大きい。ただ、中には退職後、名刺なしでは諸々の会合に出席しにくいといった理由で「今回NPOを設立しました」と得々と語る人もいる。旧来の肩書社会、名刺社会の悪弊であり、調べてみると、ほとんど活動実績がないことが分かる。
休眠状態の組織も多数存在しており、以前には風俗営業者がNPO法人を取得した例もあった。最近ではNPO法人が売買され、“NPO法人の信用”をバックに行政に入り込み利権につながる道具として悪用されたケースや、法人名義で多数の口座を開設、詐欺に悪用された例も報道されている。
真面目に活動しているNPOの皆さんには全くもって迷惑な存在であり、CSR(企業の社会的責任)に熱心な企業にとっても玉石混交の中から信頼に値する優良NPOを選ぶのは難しい情勢にある。
NPOは現在、設立趣意書や議事録、事業内容・目的など明記した定款など、申請書類に不備がなければ簡単な審査で法人格を取得できる。立ち上げ費用も20万円以上かかる株式会社と違い数千円で済む。
高齢者、子育て、貧困、難病、災害などあらゆる社会課題解決にNPOに対する期待が高まっており、NPOに対する信頼を確保する上でも、筆者は以前から2年間、活動報告、会計報告のない法人は自動的に認証を抹消すべきだと指摘してきた。法人登録の折に各々のNPOに登録番号を付与し、活動や報告のないNPOを行政が自動抹消するような方法もあっていいと思う。
日本では2016年4月、NPOに対する唯一の評価機関である非営利組織評価センター(JCNE)が設立された。優良NPOや一般財団を評価認証するのが狙いで、日本財団が全面的に支援している。世界各国の認証団体でつくる国際組織ICF0の準会員にもなっており、JCNEの活動を通じて日本のNPO活動を一層強化・発展させたいと考えている。
それにしても、悪貨が良貨を駆逐しないよう、特定非営利法人(NPO法人)の見直しを早急に検討するよう願いたいものである。(BLOGOS)